重松清 「ど根性でやんス/一人っ子同盟」

yom yom vol.21

yom yom (ヨムヨム) 2011年 07月号 [雑誌]

yom yom (ヨムヨム) 2011年 07月号 [雑誌]

重松清 「ど根性でやんス/一人っ子同盟」
を読んだ。

「ど根性でやんす」
ですが

舞台は70年代の団地。
みなしごで親戚の家をたらいまわしにされていて
狼少年のオサムと
"一人っ子"のノブの二人が主人公。

話の筋としては、
夏休みにこの
オサムとノブが
海にいくことになるのだが、
ノブがオサムの言動によって憂鬱な気分を迎える。
というもの。

話の重さ的には比較的軽いほうかな。
児童が主役なのでいじめなどあるわけでもないし。

ただ、もやもやとした感じはあります。

個人的にはかなり面白かったです。
もやもやとした感じのため、
本当にあれでいいのかな?
といったように考えられるので。



以下ネタばれ




オサムの言動をみていると
嘘吐きで家族(おじいちゃんとおばあちゃん)
の財布から金をがめるという。
明らかに性根が腐っていて屑みたいなやつ
としか思えないことをするのですが
実は本人なりに考えがあってやっているとか。

それは、みなしごの自分にとって、
おばあちゃんの面倒見のよさは酷らしく
家から追い出されるための行いらしいです。


不器用すぎるとは思いますが。。

自分は
他人のために社会的にダメと言われていることを出来るかと
問われると
出来るという自信はないです。
それができるってのはある意味強いなと思います。
でも、ダメなことはダメなので理解はできても、
いまいち肯定ができないので扱いが難しいなと思います。
なんつーか不健全。
不健全さゆえに、
扱いのむずかしさゆえに、
ちょっとずつゆがんでいっちゃうんじゃないかなと思ったりします。

それでいうなら、オサムはまわりが歪んでしまわないように
自分は早く消えてしまおうとしていたりするのかね。


また、家族の脆さなどについても書いていて面白かった。

おさむはみなしごだけど、おじいちゃんおばあちゃんが
預ることで家族ができた。
ノブはお兄ちゃんが亡くなっての一人っ子
ガー子(名前間違ってるかも)は
両親が再婚してできた家庭。
しかし、最後には離婚。

「ナイフ」の短編のひとつ「キャッチボール日和」
にて、
夫婦は離婚・再婚できるが
子供は親を選べない
なんて話があったが

この子供たちも
家庭問題に無力に巻き込まれていき、
その過程で何を感じるんだろうと思えてよかった。